こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。
「機能性表示食品」という言葉を聞いたり、商品のパッケージに記載されているのをご覧になったことはありませんか?
機能性表示食品は、健康食品やサプリメントなどとも関係があり、最近は多くの商品が登場していますが、具体的にはよく分からない方も多いのではないでしょうか。
また、「トクホ」とどう違うの?と疑問に思われている方も多いかもしれません。
今回は機能性表示食品について詳しく解説し、メリットや選び方、トクホとの違いなどについて詳しくご紹介します。
機能性表示食品とは
機能性表示食品とは、たとえば「おなかの調子を整える」「睡眠の質を向上させる」「脂肪の吸収をおだやかにする」などのように、その食品が持つ機能性がパッケージに表示された食品です。
お茶やヨーグルト、チョコレートなどの食品に機能性をもたせたもの、機能性のある成分を粉末や錠剤、カプセル状にしたものなど、形態はさまざまです。
機能性表示食品がもつ機能性の例
- 内臓脂肪を減らす
- 血糖値の上昇を抑える
- 血圧を下げる
- ストレス緩和
- 睡眠の質向上
- 腸内環境を改善する
- 関節の動きをサポートする
- 目の調子を整える
- 記憶力を維持する
通常の食品では、このような機能性の表示はできない決まりとなっています。
たとえば通常の食品に「○○が含まれる」「○○を使用している」などとは表示できても、その素材に期待できる機能性については表示することができません。
ですが、国の定めたルールに基づいてあらかじめ届け出れば、その食品が持つ機能性を表示できるのが機能性表示食品です。あらかじめ届け出るのは、安全性や科学的根拠など国が定めた項目となります。
機能性表示食品は、パッケージの主要な面に「機能性表示食品」という文言が記載されて普通の食品と区別できるようになっており、届け出番号や機能性の内容についても記載されていますよ。
また、届け出されているすべての機能性表示食品は、消費者庁のデータベースで公開されていますので、機能性の根拠などの情報を確認することができます。
機能性表示食品は比較的新しい制度です。従来より、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品については機能性の表示が可能でしたが、機能性表示食品の制度が2001年に追加されました。
機能性表示食品と、トクホ・栄養機能食品・医薬品との違い
それでは機能性表示食品は、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品、医薬品と比べて、どのような違いがあるのでしょうか。
特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品との違い
機能性表示食品と特定保健用食品(トクホ)との大きな違いは、国による認定を受けているかどうかという点です。
機能性表示食品は、事業者の責任で安全性や機能性に関する評価を行った上で機能性の表示ができる食品ですが、トクホはその効果や安全性について国によって審査され認定を受けた食品となります。
トクホは国からの認定を受ける必要があるため、明らかな実験結果などのエビデンスが出ていないと認定されません。たとえ機能性について期待できる食品であっても、国から認められなければトクホの記載をすることができないのです。
一方で機能性表示食品は、必要な届け出がされていれば国の認定を受けなくても機能性の表示が可能です。
そのため、事業者にとっては機能性をアピールしやすく、消費者にとっては機能性がわかりやすく表示されたことで目的を持って商品購入をしやすい、という利点があります。
ほかに機能性が表示できる食品として、栄養機能食品というも食品もあります。
栄養機能食品は、一日に必要な栄養成分が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。
科学的根拠のある栄養素を基準値以上含んでいれば表示ができ、たとえばシリアルバーやゼリー飲料などに多く見られます。栄養機能食品は、ビタミン・ミネラル・n-3系脂肪酸など限られた成分が対象です。
パッケージの主要面、あるいは裏面に「特定保健用食品」「機能性表示食品」「栄養機能食品」と表示が記載されていますので、気になる方はどれに該当するか確認すると良いでしょう。
- 機能性表示食品…必要な届け出がされていれば、事業者の責任で機能性の表示が可能
- 特定保健用食品(トクホ)…効果や安全性について国によって審査され認定を受け、機能性の表示が可能
- 栄養機能食品…対象の栄養素を基準値以上含んでいれば、機能性の表示が可能
医薬品との違い
病院や薬局で処方される薬などの医薬品は、特定の疾病(病気)や症状に対する予防や治療を目的に使用されます。
一方、機能性表示食品は医薬品とは異なり、健康の維持・増進が目的です。
機能性表示食品として「~に効果がある」といった機能性や、ある程度体への影響について表示されていたとしても、病気を改善するために使用することはできないので注意しましょう。
機能性表示食品はあくまでも食品ですから、食生活改善の一環として取り入れるものと考えましょう。
機能性表示食品を取り入れるメリット
機能性表示食品を取り入れるメリットは、なんといっても手軽に食品として摂取できることです。
機能性表示食品を上手に取り入れながら、食生活全体を整えることで健康的な身体づくりに役立てていくことができます。
また、機能性表示食品は「内臓脂肪を減らす」「睡眠の質を向上させる」など、具体的な機能性が表示されているため、気になる点にピンポイントで試しやすいのもメリットです。
少し試してみて自分に合っているようなら継続しても良いですし、気になる部分が改善できたらストップしてみるなど、自分でタイミングを調整できます。
※摂取目安量はパッケージの記載をしっかり確認してくださいね。
また、機能性表示食品は販売数や種類が多いため、豊富な機能性・形状・味の中から自分に合うものを見つけやすいのもメリットのひとつと言えます。
それでは、機能性表示食品を具体的にどのように選んで取り入れれば良いのでしょうか。
機能性表示食品の選び方・取り入れ方
機能性表示食品は、多く摂取すればより効果が期待できるわけではありません。むしろ過剰に摂取することで、健康に悪影響が生じることもあります。
選び方のコツを知って、安心して取り入れたいですね。
すでに症状がある場合は、医師や薬剤師に相談する
すでに症状があるなど病気が気になる場合は、まずは医師や薬剤師に相談しましょう。
というのも、機能性表示食品は特定の栄養素が多く含まれていることがあり、病気のときには機能性食品を取り入れることで思わぬ作用をおよぼすことがあります。
通院中や症状がある場合には、機能性表示食品を取り入れる前に医師や薬剤師へ相談してくださいね。
よく調べて、自分に合うものを選ぶ
機能性表示食品は種類が多く、表示されている効果も様々です。
また、効果に個人差がありますので、そのときの自分の体調に合わせて選びましょう。
似たような機能性が表示されている複数の食品を比べても良いですね。
たとえば、「おなかの調子を整える」という機能性をもつ難消化性デキストリンやイヌリンは便秘を改善する目的で使用されることが多いですが、摂りすぎるとお腹がゆるくなることもあり、摂取量の調節が必要な場合もあります。
一方で、同じ「おなかの調子を整える」とされているグァーガム分解物(食物繊維)は、便秘だけでなく、やや柔らかめの便を改善しておなかの調子を整えるなどの機能性があります。
このように、同じ機能性であっても、そのときの自分に体調に合わせて選ぶのがポイントとなります。
商品を選ぶ際に、お店やメーカーサイトを確認するのも良いですが、消費者庁のデータベースも活用できますよ。
手に取った機能性表示食品の情報を確認するだけでなく、自分に合った商品を見つけるのにも役立ちます。
たとえば上記の検索ページで、気になる機能性「睡眠」「血圧」などのキーワードを入力したり、「ヨーグルト」「紅茶」などの食品名で検索することも可能です。
自分に合う機能性表示食品を選ぶことができたら、機能性表示食品を取り入れた後の体調にもしっかり目を向けておきましょう。
体調が悪くなったら摂取を中止し、医師に相談する
機能性表示食品を取り入れているときに体調が悪くなったらどうすれば良いでしょうか?
もしそのような状態になったら、すぐに摂取を中止しましょう。
症状によってはすみやかに医師に相談し、その時の状況や症状について説明してください。
最後に
機能性表示食品は、上手に取り入れることで健康をサポートしてくれます。
ぜひ今後の参考にしてみてください。