こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。
睡眠不足や生活リズムが不規則だとなんだかスッキリしなかったり、一日を気分よく過ごせなかったりしますよね。反対に、生活リズムが整って睡眠もしっかりとれると、活力ある一日を送れるのではないでしょうか。
人間の体内では、一般に「体内時計」と呼ばれるメカニズムが働いており、そのために夜は寝て朝は起きるという自然なリズムが整います。
体内時計を整えて規則正しい生活を送ることで、不眠症などの予防だけでなく肥満予防やダイエットにも役立ちますよ。
後半では体内時計を整える食事の仕方もご紹介しますので、からだの中から健康にきれいになる習慣として参考にしてみてください。
体内時計を整える
体内時計とは?
体内時計は、生物が約1日ごとのリズムでホルモンや自律神経の働きなど体内環境を調整するメカニズムです。
体温やホルモン分泌など、体の基本的な機能は約24時間のリズムで働いています。
光や温度変化のない場所でずっと安静にしている場合でも約24時間周期であることから、生物は体内に時計のようなメカニズムをもっていると考えられ、一般にそれが「体内時計」と呼ばれています。
体内時計のリセットとは?
人の体内時計は24時間よりも少し長い約24.5時間周期であることから、体内時計のタイミングを1日の24時間周期に一致させる調整機能があります。朝に目覚めたときに1日の始まりとして体内時計のタイミングを調節することを一般的に「体内時計のリセット」といいます。
体内時計のリセットは、朝起きた時に体に朝であることを知らせます。例えば、光を浴びて目から光刺激が入ることでリセットされます。
また、朝起きて水を飲んだり朝食をとることで、睡眠時に休んでいた胃腸が動き出し、さらに体を動かすことで徐々に活動状態に入っていきます。
体内時計を整える
体内時計を整えるというのは体内時計をリセットしたり、睡眠・運動・食事タイミングなどの生活リズムを安定させて、約24.5時間周期になりがちな体内時計を24時間周期に調整することです。
昼間は活動的に過ごし、夜間はリラックスして体を休ませるように過ごすことで、体内時計は24時間周期に整います。そうすることで夜はぐっすり眠り、朝になるとすっきり目が覚めるという良いサイクルが繰り返されるんですよ。
ですが現代人は夜間も明るい環境にあったり、スマホやモニターからの光を見ることが多いなど、体内時計が乱れやすくなっています。また、夜遅い食事や激しい運動をおこなうことでも体内時計が乱れやすくなります。
体内時計の乱れが不調のもとに
人の体内時計は24時間よりも少し長い約24.5時間周期のため、うまく24時間周期にリセットできずにいると体内時計がずれてしまいます。
例えば、朝にカーテンを閉めたままだったり、朝食を抜いてしまうなどすると、自分では起きたつもりでも体は休んだままの状態が長引きます。そしてその分、夜に入眠する時間も後ろにずれやすくなります。
このずれが大きくなり修正ができない状態が長く続くと、寝る時間になっても入眠できず、さらに朝に決まった時間での覚醒が難しくなります。そうなると無理に起きたとしても日中に眠気を引き起こしたり、頭痛やだるさ、食欲不振など時差ボケのような不調が生まれてしまいます。
そのほかにも体内時計の乱れが、以下のようなさまざまな不調につながることが分かっています。
- 肥満
- ガン
- うつ病
- 不眠症
- 糖尿病
- アレルギー疾患
体内時計が乱れることで、ホルモンや自律神経など体の調節機能がうまく働かず、不調の原因となってしまいます。
健康的にダイエットをしたい時も、まずは体内時計を整えて規則正しい生活を送ることが大切です。すでに規則正しい生活を送っている方も、この機会に効果的な方法を確認してみてくださいね。
それでは体内時計を整えるために、どのようなことに気をつければ良いでしょうか。
朝日を浴びるのと同じくらい朝昼夜の食事タイミングも大事!
体内時計をリセットする方法は大きく2通りあり、どちらか一方がずれているとうまくいかないことがわかっています。
【体内時計をリセットする方法】
- 朝に光を浴びることでリセット
- 食事タイミングでリセット
体内時計を整えるためには、まずは光の調整がポイントです。目から光が入ると視神経を通って脳の体内時計に明暗環境の情報が伝わります。
朝の強い光は体内時計を24時間に合わせてリセットするように働きますが、夜の光は体内時計が「まだ昼間である」と勘違いしてしまい後ろにずれてしまうんです。
そのため、朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びるようにし、夜は白熱灯のようなオレンジがかった光や間接照明などで明るすぎない室内にしましょう。そして夜遅くにスマホなどを触るのを避けたり、ナイトモードに設定するのがおすすめです。
さらに、光と同じくらい朝昼夜の食事タイミングや内容も重要です。光でのリセットと食事タイミングなどの生活リズムがうまくかみ合わさることで、良いサイクルが続きます。
ダイエットにも役立つ、朝昼夜の食事タイミング
朝
朝食は起床後1時間までに、炭水化物・たんぱく質・脂質・食物繊維を含むものをバランス良く食べるようにしましょう。
なかでも炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスの良い食事が体内時計のリセットに寄与することがわかっています。
米や小麦などの炭水化物を使った食事は血糖値を上げインスリンを分泌しやすく、そのような食事が体内時計のリセットに関わると考えられています。脳や体を動かすためのエネルギーを補給するためにも、朝食は米飯やパンなどの炭水化物をしっかり摂りましょう。
また、朝食にたんぱく質を摂ると、夕食にとるときに比べて筋肉が作られやすいことがわかっています。卵・納豆・牛乳・チーズ・ヨーグルトなどのたんぱく質を一緒に取り入れましょう。
また、炭水化物を摂ることによる血糖値の急上昇を防ぐために、食物繊維もしっかり摂るようにしましょう。一日の初めにとる食事で血糖値の増加を抑えることができると、それ以降の食後血糖値の増加も抑えられる「セカンドミール効果」も期待できます。
とはいえ、朝はあまり時間がない方も多く、しっかり準備するのは大変ですよね。
チーズや納豆などの加工品を出すだけにしたり、生野菜を使ったサラダやフルーツで食物繊維をアップするなど、火を使わないようにすると時短になりますよ。
昼
昼食後に眠くなるなどの理由から昼食を抜く方もいらっしゃるかもしれませんが、体内時計を整えるためには、欠食はせず昼食もきちんと食べるようにしましょう。
炭水化物だけではなく食物繊維やたんぱく質も一緒に摂ることで、血糖値の急上昇を防ぐことができます。コンビニで簡単に済ませる場合でも、おにぎりだけではなくサラダなどの野菜やお肉などを取り入れることをおすすめします。
また、揚げ物やスイーツなど高脂質の食事については、なるべく夜ではなく昼間に楽しむようにしましょう。夜よりも昼間のほうがエネルギーを消費しやすいため、同じ食事内容でも食べる時間帯を工夫することが大切です。
夜
夕食は遅くならない時間帯に、カロリー控えめな内容にするのがポイントです。
就寝中は胃や腸などに負担をかけずに、朝起きた時に胃が空っぽになっている状態が理想ですよ。
また、夜間は日中に比べて活動量が少なく、脂肪として蓄積しやすいので注意しましょう。
体を労わるような和食にしたり、朝食・昼食で一日の栄養をしっかり摂っている日は夕食を軽めにするなど工夫してみてください。
夕食の時間帯の目安としては、朝食後10~12時間以内に済ませ、遅くとも就寝2時間前には何も食べないようにすると良いですよ。例えば7時に朝食をとった場合、夕食は19時までに済ませると良いでしょう。
仕事などで夕食が遅くなってしまう場合は、夕方におにぎりなどの炭水化物をとり、夜はおかずだけにする「分食」もおすすめです。
一日がんばったご褒美として夕食に比重を置きたい場合でも、油を多く使う揚げ物のような料理は避けましょう。その分香辛料やお酢、香味野菜などでパンチを効かせて満足感を出したり、緑黄色野菜や根菜、海藻などでボリュームアップすると良いですよ。
また、夕方以降はカフェインを摂取しないことも体内時計を正常に保つのに役立ちます。
16時以降はコーヒーや緑茶などは控えられると良いですね。
最後に
今回は、体内時計に関する内容と食事のタイミングや工夫できるポイントについてお伝えしました。
規則正しい生活を送ると健康的になり、肥満予防やダイエットにも役立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考
病気の 時間治療 :体内時計と疾患 柴田重信
体内時計を用いた理想的な食生活作りのために 平尾 彰子, 柴田 重信
時間栄養学とは? 食事の時間とポイントをわかりやすく解説
農研機構 時間栄養学とは?
厚生労働省eヘルスネット 厚生労働省eヘルスネット
厚生労働省eヘルスネット 睡眠・覚醒リズム障害
早稲田大学ノーベル賞で話題の「体内時計」は「時間栄養学」でコントロール
厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014