こんにちは、管理栄養士・料理家の廣野沙織(ひろのさおり)です。
炊いたご飯が余ったとき、「常温だと傷みそうだし、冷凍するまでもないし、とりあえず冷蔵庫で保存!」ということありませんか?
もしくは、冷蔵したご飯が「何かパサパサして美味しくないな~」と思った経験ありませんか?
これには、デンプンの老化が0~5℃で最も起こりやすいという理由が関係しています。
今回はご飯の冷蔵保存についてのお話をしたいと思います。
デンプンの糊化と老化
米の主要な成分はデンプンです。
炊飯中には、熱のエネルギーによって、米の中のデンプン分子間の結合(水素結合)が切れます。すると、新たに水分子とデンプン分子の間に水素結合が形成されます。
この結果いわゆる「糊化(別名:α化)」が起こり美味しいご飯になります。
残念ながら、糊化したデンプンはずっとそのままの構造を保つわけではありません。
デンプン分子の間に存在していた水分子が徐々に押し出され、デンプン分子同士が再び近づき、密に集合してしまうのです。
これをデンプンの「老化(別名:β化)」といいます。
※下の参考図では、茶色い枝分かれの線がデンプン分子、青い丸が水分子です。
(画像引用元:http://mikakukyokai.net/2015/09/13/cup-ramen/)
老化に関わる要因、「温度」
老化に関わる要因の中で、特に重要なのが温度です。
- 60℃以上またはマイナス20℃以下では老化が起こりにくい
- 0~5℃が最も老化しやすい
というのが老化の特徴です。
つまり温度が5℃付近の冷蔵庫の中は、最もデンプンが老化しやすい温度、ということなんですね。
この老化が、パサパサとした食感になる原因です。
老化しにくい保存方法
お弁当のような市販で冷蔵保存されているご飯には、老化を防ぐための食品添加物が含まれていることが多く、パサパサ感をあまり感じにくくなっています。
しかし、そのような特別なことをせず家でご飯を保存する際には、冷蔵は避けた方が良いです。
家では、なるべく冷凍して美味しさをキープしましょう。
急速冷凍を心掛けると、0~5℃を通過する時間が短くなるので
- 平たくラップで包む
- 熱伝導性の良いアルミ製のバットの上で保存する
などの工夫をすると、冷凍・解凍後も美味しいままです。
まとめ
冷蔵庫は、デンプンが最も老化しやすい温度帯です。
ご飯が余ってしまったときには、ラップで平たく包んだり、アルミ製バットの上に置くことで急速冷凍を心掛けると、時間が経っても美味しいご飯が食べられます。