ダイエット中の人工甘味料が良くない理由

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こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。

最近世の中の健康志向・ダイエット志向で、多くのダイエット食品やダイエット飲料が販売されています。
ダイエット食品の中には、エネルギー(カロリー)を控えるため、砂糖の代わりに人工甘味料が使われているものも数多くあります。

「ゼロカロリー」「低カロリー」などと書かれていることも多く、「これに置き換えれば痩せられる」「これを飲んでいれば太らない」と、ダイエットや体型維持のために積極的に選んでいませんか?

実は、それらダイエット食品・飲料に使われている人工甘味料は、ダイエットに逆効果をもたらす、むしろ太りやすくなる可能性すらあるのです。

この記事では、ダイエット中の人工甘味料が良くない理由を説明したいと思います。

 

理由① 生理的な反応で摂食行動が促される

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通常の食事では、甘さを感じた後には当然血糖値が上昇します。しかし人工甘味料の場合は、甘味は感じるものの、その後血糖値の上昇は起こりません。

すると体内ではエネルギーの恒常性(バランス)が崩れてしまい、脳の反応を介して【摂食行動】(=空腹感、食べたいという欲求)が促進され、この結果むしろ太りやすくなる[1]と考えられています。

このことは、人工甘味料が単にダイエットに逆効果というだけでなく、糖代謝に影響が出ることで糖尿病のリスクが向上する可能性もあり、健康にも悪影響を及ぼすことも指摘されています。

 

理由② 甘味に鈍感になる

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人工甘味料は非常に強い甘味をもっており、例えば、人工甘味料の一つアスパルテームの甘さは砂糖の100~200倍、スクラロースという人工甘味料の甘さは砂糖の600倍以上です。

少量でも十分な甘さとなるため、甘いのに低カロリーな食べ物や飲み物を作ることができます。

 

しかし人工甘味料の甘さに慣れてしまうと、今度は普通のデザートなどでは満足しなくなります。

甘味に鈍感になっていき、「もっと甘くないと美味しくない」「甘さが足りない」と、人工甘味料が使用された食べ物や飲み物、そして無意識のうちに砂糖たっぷり(エネルギーたっぷり)のものばかり食べる日々になっていることもあるのです。

まさにダイエットには逆効果、悪循環です。

 

理由③ 腸内フローラに変化をもたらし耐糖能異常となる

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有名な学術雑誌「Nature」で2014年に掲載された論文[2]では、人工甘味料の摂取によって腸内細菌叢(腸内フローラ)に変化をもたらし、耐糖能異常(血糖値を正常に戻す働きが弱い状態)を引き起こす可能性があることが報告されています。

 

耐糖能異常はダイエットに悪影響を及ぼすだけでなく、糖尿病や動脈硬化へもつながる恐れがあります。

腸は栄養素を吸収する器官ですが、人工甘味料の摂取によって、エネルギー吸収の増加につながる短鎖脂肪酸が腸内に増加し、耐糖能異常を引き起こすと考えられています。

 

理由④ ゼロカロリーの安心感で食べ過ぎる

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ゼロカロリー食品、ゼロカロリー飲料と呼ばれるような人工甘味料入りのダイエット製品を取り入れることで、エネルギー(カロリー)をセーブできたと安心し、後々余計に食べ過ぎてしまうのもよくあるパターンです。

 

ちなみに、厚労省の栄養表示基準では、100g(飲料の場合はml)あたり5kcal未満であれば「ゼロ」と表示できます。

つまり500ml入りペットボトルの場合、25kcal未満なら「ゼロkcal』と表示できるのです。

さらに、「カロリー控えめ」「低カロリー」「カロリーライト」などの表示は、100g(ml)あたり20kcal以下なら使用が認められています。
「カロリー控えめ」と表示された500mlのダイエット飲料を飲んだら、実は100kcal近く摂取していたということもあるのです!

それに加えて後々余計な安心感から食べ過ぎてしまっては…カロリーオーバーになりますよね。

 

まとめ

ダイエット中の人工甘味料が良くない理由を説明しました。

人工甘味料は砂糖の代わりに使うことで血糖値の上昇や摂取カロリーを抑えることができますが、習慣的に人工甘味料を使用することで糖代謝への悪影響を及ぼしたり、ダイエットには逆効果となってしまう可能性があります。

 

人工甘味料やダイエット食品に頼り切るのではなく、食事全体のエネルギーバランスを見直しながらダイエット、減量していくことをおすすめします。

 

参考

[1] 櫻井勝(2017),人工甘味料と糖代謝,砂糖類・でん粉情報,独立行政法人農畜産業振興機構
[2] Suez J, et al (2014)Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota,Nature,514,pp.181-186

 

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