こんにちは、管理栄養士・料理家の廣野沙織(ひろのさおり)です。
マカロンづくりは難しいと言われるだけあって、その裏には食品の科学がたくさんあります。
マカロンの作り方は
- メレンゲ形成
- 粉類を加えてマカロナージュ(生地を混ぜる)
- 生地の絞り出しと乾燥
- 焼成
が基本の流れで、どの工程も成功にはかなり大事。
それ故に失敗・成功の要因の数が多く、「なぜ失敗・成功したのか」が明確でないことも多いのではと思います。
失敗・成功の要因というのは具体的には、メレンゲの硬さ、マカロナージュの程度、乾燥具合、焼成温度・時間などなど…。
色々と試した結果、個人的には特に重要で面白いのが「乾燥」じゃないかと思います。
これが適度な条件でないと、焼き上がったマカロン表面にひび割れができたり、ピエ(縁のモコモコした部分)が出なかったりします。
ではなぜひび割れを防いだり、キレイなピエを出すために焼成前の乾燥が大事なのでしょうか?
それは…
①マカロンの生地中の気体 を、②生地の上から逃がすのではなく、③下から逃げさせる ため
なんです。一つずつ説明します。
①マカロンの生地中の気体について
マカロン生地のメレンゲには、空気がたくさん取り込まれています。
そもそもマカロンが膨らむのはメレンゲを作る際に卵白内に取り込まれた空気が、オーブン庫内の温度上昇によって膨張するからです(気体は温度が1℃上がると、体積が1/273ずつ増加します)。
マカロン生地中の気体というのは、空気だけではありません。卵白中の水分が焼いているときに蒸発することで生じる水蒸気もそうです。
②気体を生地の上から逃さない
物理的な生地の強度や、気泡の周りに付着したデンプンが糊化することによって、気泡は生地の中に固定されます。
ただし、熱運動が激しくなった気体(空気や水蒸気)の一部は生地の外に逃げていきます。
その際、マカロンの表面部分がしっかり乾燥していると、気体は上から逃げられません。
③気体を生地の下から逃す
上から逃げられない気体は、下の隙間(生地と台の間)から逃げていきます。
ピエがモコモコしている様子は、そこから気体が出て行きながら生地が固まった証です。
マカロンに特徴的な、生地焼成前の「乾燥」。
表面にはひび割れや穴がなく、下にはきれいなピエが出来るためのとっても重要な工程というのがお分かりかと思います!
マカロンを作る際には、こんな科学が隠れているんだ~というのを思い出してみてくださいね!