こんにちは、管理栄養士の廣野沙織(ひろのさおり)です。
白玉粉に豆腐を入れて団子を作ると翌日まで軟らかさが保たれることは経験的に実感するのですが、その理由について、ネット上でこんな文章を見つけました。
『豆腐に含まれるタンパク質を白玉粉の「でん粉」と混ぜ合わせることによって、水分が蒸発しにくく固くならず・・・』
タンパク質が水分蒸発を抑制…?
タンパク質の保水性を(塩などが)高めるというなら分かるのですが、それでは全く別の話になってしまいます。
豆腐入りの白玉団子が翌日でもやわらかい理由について順を追って考えてみます。
白玉団子が硬くなる理由
餅やパン、ご飯などのデンプン性食品が保存に伴い硬くなる原因は、主にデンプンの老化です。
つまり、デンプンの老化を抑制させる →硬くなりにくい。軟らかさを保つ。ということになります。
デンプンの老化について
加熱する前の「生デンプン」は、分子が密な状態です。
生デンプンに水を加えて加熱すると、デンプン分子の間に水が入り込み、軟らかい「糊化デンプン」となります。
その後時間とともに糊化デンプンの分子間の水が押し出されて、再び生デンプンのように密な状態になり、硬くなります。
(画像出典:宝酒造HP)
デンプンの老化抑制方法
デンプンの老化抑制方法はいくつかあります。
- βアミラーゼなどのデンプン分解酵素 →硬くなる原因のデンプンそのものを分解してしまう。
- 糖類(特にトレハロース)→糖類はヒドロキシ基(-OH)を多くもつため、デンプン分子間の水を保持し、老化を抑制する。
- 乳化剤 →乳化剤はデンプンを構成するアミロースやアミロペクチンと複合体を作り、再結晶化(老化)を防止
なぜ白玉団子に豆腐を入れると老化が抑制されるのか
豆腐自体はさまざまな成分を含んでいます。
タンパク質は含量が多いため目立つのですが、それ自体が米粉(白玉粉)のデンプンの老化抑制に大きく影響しているかは…少し疑問です。
例えば、デンプンの老化抑制であることが知られている「糖類」。
豆腐には単糖やオリゴ糖などの糖類が含まれています。
また、強い乳化作用のある大豆由来の「レシチン」も豆腐に含まれます。上にも書いたように、乳化剤にもデンプン老化抑制効果があります。
そのほかにも、豆腐を入れることによってデンプンの老化に関与する水分量やpHも変わります。
これらについて調べている研究は見当たらなかったので推測にとどまりますが、いくつかの要因がデンプン老化抑制にはたらいている可能性は考えられます。
少なくとも、『デンプンにタンパク質を入れると水分蒸発しにくくなる』という根拠は見つけられませんでした。
【レシピ】黒蜜きな粉の白玉団子
とても長くなりましたが、最後にレシピをご紹介します。
豆腐のおかげで時間がたっても軟らかいのに、豆腐の風味はほとんどしないというのが美味しさのポイントです。黒蜜も簡単に手作りできてしまうので是非挑戦を。
材料(10個分)
- 白玉粉 40g
- 絹ごし豆腐 50g
- きな粉 小さじ2
<黒蜜>
- 黒砂糖(粉末) 大さじ2
- 水 小さじ2
作り方
- 黒砂糖と水を大きめの耐熱ボウルに入れ、500Wの電子レンジで1分間加熱する。レンジから取り出し、冷ましながらスプーンで混ぜ続け、とろみをつける。
- 白玉粉は少量の水(分量外)でなじませておく。白玉粉と豆腐を一緒に捏ね、耳たぶ程度の硬さにする。
- 2を10個分の団子状に丸め、たっぷりの沸騰水で茹でる。3~4分程度すると白玉が浮き上がるので取り出し、氷水で冷却する。
- 3の白玉団子を器に盛り、上から1の黒蜜ときな粉をかける。
最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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