管理栄養士がやさしく解説!ビタミンDの働き・健康効果とおすすめの摂り方

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こんにちは、管理栄養士・料理家の廣野沙織(ひろのさおり)です。

ビタミン類の中でも、あまり大きく取り上げられることの少ない「ビタミンD」。

皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?「ビタミンDといったら・・・キノコ?」くらいの印象の方も多いかもしれません。

管理栄養士の私も、初めてビタミンDについて学んだときは、その機能や構造が複雑で少し戸惑った記憶があります。

 

今回は、そんなビタミンDについて、分かりやすさを心掛けながら解説することにしました!

ビタミンDってどんな働きをしているの?健康への効果は?どういう食べ物に多い?おすすめの摂り方は?などなど、気になる情報についてご紹介します。

意外な作用も?ビタミンDの働きと効果

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ビタミンDには次のような働きや効果があることが知られています。

 

  • カルシウムの吸収を助ける→骨や歯の健康に関与
  • 体内のカルシウム・リンの濃度を調節する
  • 膵臓に働きかけ、糖尿病の発症を予防 [1][2]
  • 免疫システムを助け、風邪やインフルエンザを予防 [3]

 

特にカルシウムは多くの日本人が不足しがちなため、その吸収を助けてくれるビタミンDの働きはとても重要です。

糖尿病予防や免疫への関与については、初めて聞いた方も多いかもしれません。これらはまだ分からないことも多いようなので、今後の研究に期待ですね!

 

実はいろいろな種類がある!重要なのは紫外線?

ビタミンDといっても、色々な種類があるのをご存知でしたか?

ビタミンDは、D2~D7の6種類がありますが、人間にとって重要なものはビタミンD2とビタミンD3の2種類です。

  • ビタミンD2:植物由来。干し椎茸、きくらげなどに含まれる。
  • ビタミンD3:動物由来。魚介類(鮭、カレイ、イワシ)などに含まれる。

 

ビタミンDは体に不可欠な栄養素ですが、限られた食品にしか含まれていません

では体内のビタミンDを増やすために、干し椎茸やきくらげをひたすら食べればよいのか・・・というとそうではありません。

 

ビタミンDには、前駆体(一歩手前の物質)である、プロビタミンD2、プロビタミンD3というものが存在します。プロビタミンDは、ビタミンDに比べて多くの食品に含まれています。

  • プロビタミンD2:植物由来。キノコ類、海藻、納豆などに含まれる。
  • プロビタミンD3:動物由来。魚や牛乳、卵などの他、人間の皮膚にも存在。

 

プロビタミンD2、D3は紫外線によって、それぞれビタミンD2、D3(ビタミンD)に変化します。

干し椎茸にビタミンDが多く含まれるのは、天日干しにする際の紫外線によってプロビタミンDがビタミンDに変化するためです。

 

さらに、人間の皮膚にもプロビタミンDが存在するため、日常で紫外線(日光)を浴びることによって、自らビタミンDを作ることができるのです。

ちなみに最近のニュースで、『近年の美白ブームで紫外線ケアを念入りにする人が多く、ビタミンD不足が懸念される』という内容を耳にしました。行き過ぎたケアは要注意かもしれません!

 

ビタミンD2とD3は、肝臓と腎臓で構造が変化し「活性型ビタミンD」となります。カルシウム吸収を助けるなどの働きは、実は活性型ビタミンDが活躍しているんです。

肝臓や腎臓に機能障害があると、ビタミンDを摂っていてもそれを活性型にすることができず、ビタミンD不足の症状がみられます。

 

油とカルシウムの組み合わせが◎ ビタミンDのおすすめの摂り方

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プロビタミンDは紫外線によってビタミンDになるので、干し椎茸を買う以外に自家製の干しキノコなどもおすすめ。

日持ちがよくなり、旨味も凝縮されます。お味噌汁の具に入れたり、炊き込みご飯に入れたりと幅広い使い方が可能です。

 

また、ビタミンDは油に溶ける性質があるので、油で炒めたりオイルソースにするなどの調理法は高い吸収率が期待できます。

更に、ビタミンDはカルシウムの吸収を良くしてくれるので、せっかくならカルシウムを豊富に含む食材と組み合わせてみましょう!
カルシウムは、小魚や牛乳・チーズの他、小松菜や水菜などにも豊富に含まれています。

 

鮭(ビタミンD)×小松菜(カルシウム)を牛乳(カルシウム)でホワイトソースにしたり、
干しキノコ(ビタミンD)×しらす(カルシウム)をオイル(油)で炒めて、パスタソースにするなど・・・。

色々な組み合わせが考えられますね。

 

カルシウムの吸収を助けたり、糖尿病の予防にも効果があるとされるビタミンD。
せっかくなら、料理の工夫で無駄なく摂れると良いですね。

 

今回はビタミンDについて詳しく紹介しました。
これまであまり気にしたことがなかった方も、今後はぜひ意識してみてください。

 

参考

[1] https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/384.html

[2] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21715514

[3] https://www.bmj.com/content/356/bmj.i6583

 

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