こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。
日本人の食卓には欠かせない米。稲の実から外側のもみがらを取ると玄米になり、さらにぬかや胚芽を取り除いて精白することで、より馴染みのある白米になります。
玄米はぬかや胚芽ごと食べるので、白米と比較すると栄養面や健康効果において様々な違いがあるんですよ。
今回は、玄米を食べる健康効果・メリットと、食べる量の目安についてご紹介したいと思います。
玄米を食べる健康効果・メリット
①肥満予防
玄米はぬかや胚芽を含む分、白米に比べて食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は腸内で水分を吸収し、膨張することで満腹感を感じやすくなります。
また、玄米は食物繊維が豊富なことから血糖値をあげにくくする低GI食品でもあり、ゆるやかな血糖上昇が続くことで食後の満足感が持続します。
これらのことから、玄米を取り入れることで自然と食事の量を減らすことができ、摂取エネルギー量を抑えることに役立ちますよ。
また、食物繊維は腸内細菌によって発酵され、その過程で「短鎖脂肪酸」が作られます。
短鎖脂肪酸は、脂肪細胞において脂肪合成を抑制したり、代謝を高めるなどの抗肥満作用があります。
②食欲が整う
先にご紹介した「短鎖脂肪酸」には、食欲を調整することにも役立ちます。
短鎖脂肪酸は「GLP-1」というホルモンの分泌を促進することが分かっています。GLP-1は食欲を抑えるはたらきの他、食後の高血糖を防ぐ、脂肪の分解を抑制するなど、肥満予防に役立つはたらきがありますよ。
また、玄米に含まれる「γ-オリザノール」という成分は、満腹中枢が存在する脳の視床下部に作用し、動物性脂肪の嗜好性・依存性を抑制し[1]、さらに脳内報酬系にはたらきかけて美味しさや幸福感を生み出すドーパミン受容体の機能を高める作用がある[2]ことが明らかになっています。
普段からジャンクなものや油っこい料理が食べたくなる方は、玄米を取り入れることによって食の嗜好を改善する効果が期待できるかもしれません。
[1] Kozuka C,et al., Brown Rice and Its Component, γ-Oryzanol, Attenuate the Preference for High-Fat Diet by Decreasing Hypothalamic Endoplasmic Reticulum Stress in Mice,Diabetes, 2012, 61(12), 3084–3093
[2]Hiroaki Masuzaki, et al. Brown rice-specific γ-oryzanol-based novel approach toward lifestyle-related dysfunction of brain and impaired glucose metabolism, Glycative Stress Research, 2017,4(1), 058-066
③脳の老化を防ぐ
玄米に含まれる様々な成分が、脳の老化予防に役立つ効果をもつことが期待されています。
玄米にはビタミンE、ポリフェノール、フェルラ酸といった抗酸化物質が豊富に含まれ、これらの成分は脳細胞における酸化ストレスを軽減し、細胞の老化を遅らせる効果が期待されています。
また、玄米に含まれる抗酸化物質や食物繊維は、炎症反応を抑制することが報告されています。慢性的な炎症は脳の機能低下と関連しており、炎症の軽減は認知機能を改善し、脳の健康をサポートしてくれますよ。
さらに、血糖値の急激な上昇を抑えることや、腸内環境が整うこと、栄養価に優れていることなども脳の健康をサポートし、老化予防に役立つと考えられています。
④美容に役立つ
玄米に豊富に含まれる抗酸化物質によって、細胞の酸化ストレスが軽減し、肌の老化を防ぐといった美容に役立つ効果が期待されます。
また、抗炎症物質によって体内の炎症を抑えることや、便通を促す食物繊維が豊富なことも、美容にはとても重要ですね。
腸内の不要な物質を排出することで、肌荒れや吹き出物の予防にもつながりますよ。
さらに、肌代謝を促進するビタミン・ミネラルを主食から補えるというのも嬉しいポイントです。
玄米の摂取量目安
玄米は主食(炭水化物)にあたります。炭水化物の摂取目安は総エネルギー量の60%程度が目安です。
平均的な女性は2000kcalがエネルギー摂取の目安ですので、1200kcalを主食の炭水化物で摂るのが良いバランスとなります。
炊いた後の玄米100gあたりのカロリーは152kcal程度のため、だいたい790gで1200kcalとなります。1日3食に分ける場合、1食あたり約260gです。
男性の場合、1日に2700kcal程度とすると、1食あたり約355gです。
思ったより多いという方は多いかもしれませんが、おかずを食べすぎなければ、適正なカロリーの範囲内に収まりますよ。
玄米ごはんを中心にすることで満腹感が得られ、精力的に活動しやすくなります。
さらに玄米の嬉しい効果を享受できることで、内側から健康的な身体作りをしていくことが可能です。
今回は玄米の健康効果と食べる量の目安についてご紹介しました。
ぜひ今後の食生活の参考にしてみてください。