こんにちは、管理栄養士・料理家の廣野沙織(ひろのさおり)です。
冬の旬野菜、ほうれん草。旬の時期に食べるほうれん草は甘くて美味しく、安く手に入るのも魅力のひとつですよね。
しかし、美味しい・安いだけではありません。冬のほうれん草は他のシーズンに比べて栄養価が高いという点でも優れています。
この記事では、冬のほうれん草の栄養について、そして栄養を無駄にしない調理方法や食べ方についてご紹介します。
冬のほうれん草はビタミンCたっぷり!
夏に採れるほうれん草と、冬に採れるほうれん草を比較すると、旬である冬に採れるほうれん草の方が栄養価が高いことが知られています。特に、ビタミンCの含有量で大きな差があります。
ほうれん草100gあたりのビタミンC含有量[1]
- 夏採り:20mg
- 冬採り:60mg
その差はなんと3倍も!
ビタミンCは肌や髪を構成するコラーゲンの合成に必要であったり、ストレス時には必要量が高まる栄養素です。
成人では、一日に100mgのビタミンCの摂取することが目安とされています。
冬のほうれん草は100g(およそ半束分)で一日目安の半分以上ものビタミンCが摂れてしまうんですね!
ほうれん草の栄養を無駄にしない調理法
ビタミンCをはじめ、冬のほうれん草に豊富に含まれている多くの栄養素。
せっかくなら調理で無駄にしたくないですよね。ちょっとしたコツで栄養の損失をカバーすることができるのでご紹介します。
茹でる代わりに蒸し茹でにする
通常ほうれん草を茹でるとき、たっぷりのお湯で茹でるのが一般的ですが、それよりもオススメなのは「蒸し茹で」にすること。
蒸し茹でのやり方は、少量の水とほうれん草を鍋に入れ、蓋をして1~2分加熱するだけ。
この方法であれば茹で水に栄養が溶け出しにくいだけでなく、水を沸かす時間や光熱費も省けます。
蒸し茹での方法については、以前にブロッコリーで説明をしているのでそちらも参考にしてみてください。
切る前に茹でる。小さく切るのは茹でた後に
ほうれん草は丸ごとのまま茹でる(または蒸し茹でにする)方が小さく切って茹でるよりも栄養が失われにくいです。
小さく切ると茹でやすくはなりますが、その分栄養が流出してしまいます。また、水っぽくなるというデメリットもあります。
【切る→茹でる】のではなく、【茹でる→切る】。
食べやすい大きさに切るのは茹でた後にしましょう!
汁ごと・スープごといただく
ほうれん草のえぐみ、アクが気になり下茹で(別茹で)する方も多いと思いますが、考え方によってはえぐみやアクも栄養の一部。
下茹でせずに、ほうれん草を加熱した汁ごと食べられる料理(スープや煮込み料理など)にすれば、水に溶けだしやすいビタミンなどの栄養素を丸ごと体に取り入れることができます。
油で炒めれば脂溶性ビタミンも効率よく摂取
例えば、脂溶性(油に溶けやすい)ビタミンの代表、βカロテンについては
茹でた場合に比べ、油で炒めると1.4倍ものβカロテン量[2]となります。 ※同重量での比較
炒め油にβカロテンは溶け出してしまうものの、その油自体がほうれん草をコーティングするので栄養素が調理中に失われにくいのだと考えられます。
単純に量として失われにくいだけでなく、βカロテンをはじめとする脂溶性ビタミンは、油と一緒に炒められているおかげで、小腸での吸収も高まることが知られています。
ほうれん草に限らず、脂溶性ビタミンが豊富な野菜、特に緑黄色野菜は油との相性が良いんですよ♪
栄養満点!冬のほうれん草の栄養を無駄なく食べよう
冬のほうれん草は、他のシーズンに採れるものに比べて栄養が豊富です。今夜の料理の食材として選んでみてはいかがでしょうか?
また、栄養を無駄にしない調理のコツについてもぜひ参考にしてみてください!
参考
[1] [2] 食品成分データベース, 文部科学省