干し椎茸の栄養と活用術、干し椎茸が水戻しでふっくらと戻る理由

こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。

料理の「だし」としても重宝される干し椎茸ですが、干すことで生の椎茸に比べて栄養が増えるのはよく知られていますね。

単純に水分量が減ったために栄養が凝縮するとも思えますが、実は、紫外線によって椎茸のビタミンDが増え、うま味成分であるグアニル酸が干し椎茸では生成されやすくなっています

また、干し椎茸を水戻しすると生の椎茸に似たふっくらとした食感に戻りますが、切り干し大根などの乾燥野菜に比べて、元の食感に近くなるのを不思議に思ったことはありませんか?

今回は、干し椎茸の栄養と活用術、干し椎茸が水戻しでふっくらと戻る理由について解説します。

干し椎茸の栄養成分

干し椎茸にはさまざま栄養が含まれていますが、中でも注目されている成分はビタミンD、食物繊維βグルカン、エリタデニンです。

ビタミンD

ビタミンDは体内でカルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にする働きがあり、カルシウムと一緒に取り入れることで女性に多いとされる骨粗しょう症予防に効果が期待できます。

ビタミンDは人の皮膚が日光に当たることで合成されますが、特に冬場は日光に当たる機会が減るのでビタミンDが不足しやすくなります。冬以外でも紫外線が肌へ与える影響を考えて、日光に当たらないように意識している人は多いはず。

ビタミンD不足にならないために、食事からもしっかり取り入れておきたい栄養素です。

食物繊維βグルカン

椎茸は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維どちらも多く含みます。食物繊維はコレステロールを下げる働きや、腸内で有害物質を吸着する働きがあります。

中でもキノコ類に含まれるβグルカンは、免疫力アップや抗腫瘍作用が期待できるとして近年、注目されています。

エリタデニン

エリタデニンは椎茸から発見された成分で、キノコ類の中で椎茸に突出して多く含まれています。コレステロールを下げる働きや、高血圧を予防する効果が期待されています。

エリタデニンは水に溶けやすいため水洗いは避け、干し椎茸の戻し汁まで使い切ると良いですよ。

椎茸は干すと栄養やうま味がアップする?

ビタミンDの元となるエルゴステロールという物質は、紫外線を当てることでビタミンDに変化します。天日干しの椎茸にビタミンDが多く含まれていると言われているのは、このためです。

ただし干し椎茸のビタミンD量は、椎茸の生育環境や干し椎茸の製法によってばらつきがあります。

市販の干し椎茸は、衛生などの観点から機械で熱乾燥されたものがほとんどで、ラベルに天日干しの記載があるものでも、機械乾燥の後に天日干しされているものもあります。さらに椎茸を栽培している間の天候によっても紫外線量が変わるので、ビタミンD量にばらつきが出るのです。

そのため、生の椎茸に比べるとビタミンDが多いとされている干し椎茸ですが、よりビタミンDを多くするためには、時間がある時に2時間ほど日光に当てておくとよいでしょう。
日光を当ててから数カ月は、ビタミンDを保ったまま保管できると言われています。

日光に当てる時は、傘の内側の白い部分にエルゴステロールが多く含まれるため、白い部分が日に当たるようにしてくださいね。

また、干し椎茸のうま味成分であるグアニル酸も干すことで生の椎茸に比べて多くなり、干し椎茸を戻したときのうま味がアップします。これは、乾燥の工程でグアニル酸の元になる成分が出てきやすくなるからです。

干し椎茸の活用術、栄養の吸収を高める組み合わせ

ビタミンDや食物繊維などの栄養がある干し椎茸。家庭でも幅広く活用したいですね。
ちらし寿司やおからの煮物など昔ながらの料理に使うイメージがありますが、スープ類の具材としても相性がよく和洋中どんな料理にも活用できます。

今回は、栄養の吸収を高めるおすすめの組み合わせを紹介します。

ビタミンD × カルシウム

ビタミンDはカルシウムの吸収を高めることから、干し椎茸はカルシウムを多く含む大豆製品や乳製品と組み合わせてみましょう。
チーズを追加することや、副菜として豆腐などを添えるのもおすすめです。

ビタミンD × 油

ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、適量の油と一緒に調理すると栄養の吸収を高めることができます。
炒め物などにさっと加えて火を通すようにすると、調理によるビタミンの消失を最小限に抑えられます。

ただしキノコ類は油を吸いやすいので、油のとりすぎには注意しながら調理してくださいね。おすすめは肉料理で、うま味を増すとともに健康的にボリュームがでます。

※過剰摂取に注意しながら

ビタミンCが水溶性で自然と体外に排出されるのに比べて、ビタミンDは脂溶性で体内にとどまるため、過剰摂取には注意しましょう。

もともと干し椎茸は大量に食べることはなく、現代人の食事はそもそもビタミンDが不足しがちといわれているので、常識的な範囲であれば大丈夫です。

魚料理が少ない時や、日光に当たる機会が少ない冬などに、特に干し椎茸の活用をおすすめします

干し椎茸の水戻し、ふっくらと戻るのはなぜ?

干し椎茸は冷水で戻すことでうま味を上手に引き出すことができます。水戻しをしたら、忘れてはいけないのが戻し汁。戻し汁にも栄養がたっぷり染み出ているので、ぜひ使いきってくださいね。

干し椎茸を水戻しすると、生の椎茸に似たふっくらとした食感に戻ります。切り干し大根などの乾燥野菜に比べて、かなり元の食感に近くなっていますよね。

水戻ししたときに干し椎茸がふっくらと戻るのは、トレハロースという糖質が関係しているからです。トレハロースが椎茸の細胞を乾燥から守り、再び水に浸かった時に元の形に戻りやすくしているのです。

トレハロースは椎茸の他に、海藻・きくらげ・イワヒバなどに多く含まれています。トレハロースの特徴として保水性があることや、素材の味を引き出す風味があるため、食品業界で和菓子・洋菓子・加工食品などに広く使われていますよ。

まとめ

いかがでしたか。昔から体に良いとされている干し椎茸は、科学的に見てもビタミンD・食物繊維βグルカン・エルタデニンなどの栄養を多く含み、骨粗しょう症予防やコレステロール低下、高血圧の予防などが期待できます。

干し椎茸は和洋中どんな料理とも相性がよく、うま味素材として料理に活用すると味にぐっと深みが出ますね。乾燥品のため日持ちもしますので、普段から常備しておくと便利です。

干し椎茸が水でふっくらと戻るのは椎茸に含まれるトレハロースという糖質が関係しています。水戻ししたときの戻し汁にも栄養が出ていますので、しっかり使い切りましょう。
干し椎茸をぜひ活用してみてくださいね。