加熱した食品のおいしさに関わるメイラード反応とは?

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こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。

「メイラード反応」という言葉を聞いたことがありますか?

焼く・炒める・揚げるなど、加熱してひと手間くわえた料理はおいしさが違いますよね。

たとえば、デミグラスソース・照り焼き・パン・揚げ物など、香ばしさやロースト感が特徴的な料理には、メイラード反応が関わっているんです。

今回は、食品のおいしさを決定づけるメイラード反応について、詳しく解説します。

メイラード反応とは?食品のおいしさに関わる反応

お肉を焼いたりパンやケーキを焼くと、キツネ色に色づき、おいしそうな香りが漂ってきますよね。

これがまさにメイラード反応で、加熱によって料理が褐色に変化し、おいしさの元である成分が作り出される反応です。

加熱調理には、食材に火を通して安全に食べるという目的もありますが、このメイラード反応があるからこそ、料理の美味しさが一段と増します。

メイラード反応は、アミノカルボニル反応とも呼ばれています。

・アミノ…アミノ酸
・カルボニル…カルボニル基(糖の一部分) ※カルボニル基がない糖もあります。

という意味があります。

つまり、食品に含まれるアミノ酸や糖が結合することで、メイラード反応(アミノカルボニル反応)が起こり、褐変成分や香気成分がつくられます。

この反応は、熱を加えることで次々と進みます。

アミノ酸 + 糖 →(加熱)→ 褐変成分、香気成分

メイラード反応によって生まれた独特のロースト感や香りは、「匂い」だけでなく食品の「味」にも影響を与えることがわかっており、これがおいしい料理の理由になっているようです。

メイラード反応による匂いと味の関係

味を感じるとき、実は「匂い」が重要な役割をしめています。

風邪をひいて鼻がつまっているときなど、おいしさを感じられず食欲がわかないことがあると思います。

食べ物を口に入れたとき、食品の香りは空気とともに口から鼻腔を通り抜けます。その際、嗅覚が刺激され、その匂いが味に大きく影響します。

メイラード反応を利用した食品でも同様のことが言えます。

メイラード反応のロースト感や多種多様な香りによって、料理のコクやうま味が強化され、厚みのある味ができ上がるんです。

加熱した食品のおいしさには、やはり特別な理由があるのですね。

メイラード反応を利用している食品

メイラード反応を利用している食品や料理には、照り焼き、パン、コーヒー、チョコレート、デミグラスソース、味噌、醤油などがあります。

どれも色や香りが美味しそうで、食欲がわく食品ばかりではないでしょうか。

このような食品には共通点があり、アミノ酸や糖などのメイラード反応の元となる成分、つまり、たんぱく質や糖質を多く含みます

たとえば、鶏肉の照り焼き。

たんぱく質やアミノ酸が含まれるお肉を焼くとメイラード反応が起こりますが、照り焼きではさらに調味料として、砂糖や醤油などのメイラード反応の元となる成分が多く含まれています。

そのため、メイラード反応が進みやすくなり、短時間で特有のおいしさや香りがつくられるのです。

メイラード反応は常温でも進む

このように加熱されることでよく進むメイラード反応ですが、常温でもゆっくりと進みます。

常温でメイラード反応が進むものとして、味噌や醤油などがあります。

たとえば、仕込みたての味噌は色が薄く塩辛い味ですが、発酵や熟成が進むことで褐色が増し、味噌らしい深みのある味ができあがります。

発酵とともにメイラード反応が進むためです。

味噌や醤油も、メイラード反応が進みすぎたものは焦げたような風味が強くなり、食べ頃とは言えなくなってしまいますね。

冷蔵庫などで冷やして保管すると、反応の進みが遅くなるため、味を維持したいときに効果的ですよ。

メイラード反応は、おいしさの秘訣

今回は、食品のおいしさに関わるメイラード反応についてご紹介しました。

メイラード反応では、アミノ酸とカルボニル基が反応して褐変成分や香気成分が作られます。

これらの成分によってロースト感や香りだけでなく、食品のコクやうま味が強化され、厚みのある味ができあがりますよ。

また、メイラード反応は過熱することで進みますが、常温でも少しずつ進みます。
温度を調節することで、メイラード反応の進み具合をある程度コントロールすることができます。

上手に調節して料理のおいしさを効果的に引き出しましょう。

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