こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。
前回の記事では、免疫力に関わる栄養素について、そしてそれらの栄養素を摂るためには食事バランスが重要ということをお伝えしました。
今回は、免疫力を高める二つ目のポイント、「腸内環境を整える」ことについてご紹介したいと思います。
腸内は最大規模の免疫器官
腸は食べ物を消化・吸収するところ、といったイメージが強いかもしれませんが、実は免疫器官としても重要な役割があります。
腸内に存在する、免疫を担う細胞や、抗体(外敵と直接戦うたんぱく質のこと)の数は、なんと体全体の60%以上もあります [1]。
さらに、私たちの腸内で生息している、100兆個もの腸内細菌の中には、免疫の働きを活性化させたり[2]、消化管の粘膜免疫を高める[3]ものも存在します。
そのため、腸内環境を整えることは、免疫の維持・向上に直結するのです。
腸内環境を整えるためにおすすめの食べ物
腸内の状態をより良くしていくためには、健康にとって良い働きをしてくれる、「善玉菌」(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌など)を増やしていくことがポイント。
そのために意識して摂取したいのは、①菌を直接含む食品、②食物繊維、③オリゴ糖の3つです。
それぞれの役割と、食べ物の例をご紹介します。
菌を直接含む食品
乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などを多く含む食べ物から、菌を直接摂取することで、腸内の善玉菌を増やしていくことが期待できます。
「菌が生きたまま腸に届かなければ意味がない」と思っている方も多いかもしれませんが、実は、菌が死んでしまっても善玉菌の体をつくる成分に有効な生理機能が期待できるため、必ずしも生きて腸まで届く必要はありません[3]。
<おすすめ食品>
•ヨーグルトやチーズ、キムチ、漬物などの発酵食品には乳酸菌が豊富に含まれています。
•食品の中で唯一ぬか漬けには酪酸菌が含まれています。
•ビフィズス菌はヨーグルトに含まれていますが、必ず含まれているわけではないので、「ビフィズス菌入り」と記載されているものを選びましょう。
食物繊維
食物繊維は腸内細菌のエサとなるため、腸内環境を整える上では欠かせない成分です。
食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があります。
このうち、腸内細菌のエサになりやすいのは水溶性食物繊維です。
<おすすめ食品>
野菜類(大根、キャベツ、レンコンなど)
果物類(バナナ、キウイ、りんご、みかんなど)
海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)
きのこ類(椎茸、しめじ、えのきなど)
豆類(大豆、小豆、エンドウ豆など)
いも類(サツマイモ、こんにゃくなど)
穀類(大麦、オートミールなど)
オリゴ糖
オリゴ糖も食物繊維と同様に、腸内細菌のエサとなって細菌の増殖を促してくれます。
オリゴ糖は人間が消化しにくい成分のため、エネルギーとなりにくい(カロリーが低い)のも特徴。
ただしオリゴ糖は一度にたくさん摂取するとお腹を壊してしまうこともあるので、少しずつこまめに取り入れることをおすすめします。
<おすすめ食品>
大豆、大豆製品(豆乳や豆腐など)、玉ねぎ、アスパラガス、バナナ、にんにく、ねぎ、ごぼうなど
腸内環境を整えて、免疫力アップ
腸は免疫器官として重要な役割を担っています。
腸内の環境を整えることで、免疫力の維持・向上はもちろん、便秘改善をはじめとする、さまざまな健康効果も期待できます。
健康維持のためにはぜひ、腸内環境を整えるお食事を意識してみてくださいね。
参考
[1] https://bifidus-fund.jp/keyword/kw020.shtml
[2] http://www.t-pec.co.jp/health-news/2017/03.html
[3] https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html