こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。
塩は料理には欠かせないもので、様々な種類の塩が販売されていますよね。岩塩やハーブソルトなどはおしゃれなイメージがありますが、塩の成り立ちやどのような料理に使うのがベストなのか、具体的にご存じの方は少ないのではないでしょうか。
また、日本は海に囲まれており各地で塩がつくられていますので、和食に合わせたり、シンプルな素材につけて塩そのものを味わうという楽しみ方もできます。
今回は、塩の種類と選び方についてご紹介します。それぞれの塩にどんな料理が合うかもお伝えしますので、塩選びの参考にしてみてください。
塩の種類と選び方
塩の種類は、精製塩と粗塩に大きく分けられます。
精製塩は工業的にミネラルが取り除かれ、塩化ナトリウムのみとなった塩です。
一方で粗塩は、海水等の原料に含まれるミネラルなどの成分を残して作られます。粗塩は原料や成り立ちによって海水塩・岩塩・湖塩などと呼ばれています。
精製塩は粒が小さくサラサラとしている一方で、海水塩・岩塩・湖塩などの粗塩は比較的粒が大きく少ししっとりしています。
このような精製塩と粗塩の違いだけでなく、海水塩・岩塩・湖塩もそれぞれ特徴や風味はさまざまですので、料理によって最適なものを選べると良いでしょう。
精製塩
精製塩は、その名のとおり精製をおこなって塩化ナトリウムのみとなった塩です。ミネラルが取り除かれているため、ストレートに塩味を感じます。
工業的に大量生産されており低価格ですので、野菜やパスタをゆでるときのゆで塩や、大量調理に向いています。
また品質が均質化されているため、できあがりの品質を一定に保ちたいときにも役立ちますよ。
海水塩
海水塩は、海水中に含まれる塩分を原料として、水分を蒸発させて作られます。
そのため海水中のミネラルが残っており、精製塩に比べてまろやかさも感じられます。
海水を煮詰めて作るため、精製塩に比べて粒が大きいものが多く、しっとりとしているのが特徴です。
刺身、焼き魚、おにぎりなどの和食によく合いますよ。
湖塩
湖塩は、塩分が濃縮された濃縮湖で自然に塩が結晶化したものです。
濃縮湖は海だった場所が地殻変動等によって湖のようになり、水分が蒸発して塩分濃度が高くなっているため、自然に塩ができます。
湖塩はミネラルが豊富で比較的純度が高め(1)なのが特徴です。産地にもよりますが、まろやかで甘みがあるものはスープや煮込み料理などに向いていますよ。
(1) 新野ら, 市販食塩の品質(Ⅱ), 日本海水学会誌, 58(3), 289-303
岩塩
海だった場所が地殻変動等により湖のようになった後、長い年月により結晶化したのが岩塩です。岩塩は地面の中にあるため、掘りおこして流通されます。
岩塩は純度が高い塩化ナトリウムの結晶で、塩辛さが特徴です。
岩塩といえばピンク色をイメージする方も多いかもしれませんが、白・ピンク・黒・透明と色のバリエーションは豊富です。自然にできた結晶ならではの特徴ですが、色が異なるのは含まれる成分によるもので、銅や鉄の成分が含まれるとピンク色、硫黄成分が含まれると黒色の岩塩になります。
岩塩は粒が大きいのでミルで挽いたり、おろし金で細かくして使用します。塩気が強く溶けにくいため、肉やグリル料理によく合いますよ。
調味塩
調味塩とは、ハーブソルトなど塩にスパイスやハーブを混合したものです。
塩味以外にもスパイスやハーブの風味が感じられるため、つけ塩として味の変化を楽しみたいときにおすすめです。
加熱後の食材にそのまま振りかけるだけで完成する調味塩もあり、あと1品ほしいときに便利ですよ。
減塩の塩
減塩の塩は塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えたもので、ナトリウム量が少ないのが特徴です。
塩化カリウムは若干の苦味はあるものの、塩化ナトリウムと同じように塩味を感じます。そのため、塩化ナトリウムの摂取量を減らして減塩することができます。
減塩の塩はナトリウム摂取量に制限がある高血圧の方に向いている一方で、カリウムを過剰に摂ってしまうことになるので、腎臓が弱い方には向きません。注意点を知った上で活用するのが良いでしょう。
産地・製法・粒の大きさの違い、料理によって使い分けるのがポイント
このように塩には多くの種類がありますが、原料や成り立ちのほかに、製法や原産地、粒の大きさによっても味や特徴に違いがあります。
それぞれの特徴を知って、料理によって使い分けられると良いでしょう。
製法による違い
天日塩
天日塩は、海水を塩田に引き、太陽や風など自然の力で水分を蒸発させて作られます。天日塩の特徴は、磯の香りがあって、まろやかなことです。
野菜や刺身など、シンプルな素材に合わせることで、塩本来の味を楽しむことができます。
平釜塩
海水を濃縮し、その後平窯で煮詰めて作られるのが平窯塩です。
平窯塩はミネラルが豊富で、作り手によって差が出やすい粗塩となっています。
味の特徴としては、甘みも感じられ魚料理によく合います。素材の味を引き立てるため料理の隠し味としても使うことができますよ。
産地による違い
国産の塩
日本でつくられる塩は、瀬戸内海や能登地方、沖縄地方などで製造される海塩や天日塩になります。岩塩や湖塩は日本では採取できないため、国産にこだわるなら海塩や天日塩を探してみてください。
海藻を利用してつくる藻塩も、日本に古くから伝わる塩になります。
外国産の塩
外国産の塩は、産地や種類が豊富で、日本にはない岩塩や湖塩などが採取できるため、珍しいものあるでしょう。ヒマラヤ岩塩やウユニ塩湖など、有名な産地のものは聞いたことがある方も多いかもしれません。
外国産の潮について、代表的な産地をまとめました。
- 海水塩:オーストラリア、メキシコ、中国、フランス
- 岩塩:パキスタン(ヒマラヤ山脈)、ボリビア(アンデス山脈)、イタリア
- 湖塩:ボリビア(ウユニ塩湖)、イスラエル(死海)、オーストラリア(デボラ湖)
外国産の塩を選ぶときのポイントは、原料の原産地をよく確認することです。塩を加工したり包装をおこなう製造地と、塩製品のもととなる原料の産地(原産地)が異なる場合があるためです。
原料の原産地は表示に記載がありますので、産地までこだわるときはパッケージに記載されている表示をチェックしてみてくださいね。
粒の大きさによる違い
塩は粒の大きさもさまざまです。
料理によって使い分ける場合、粒の大きさもポイントになりますよ。
- 粒が大きい塩:溶けにくく、口あたりがまろやか。塩本来の味を楽しむ場合に。
- 粒が小さい塩:溶けやすく、食材や料理に均一に混ぜ込みたい場合に。
- 中間の大きさの塩:幅広いメニューに使いたい場合に。
粒の大きさは製品ごとに違いますので、塩の種類だけでなく、粒の大きさも見て料理に合わせて使い分けるのも良いでしょう。
最後に
ひとくちに塩といってもたくさんの種類があり、料理に合わせて選ぶことで味がグレードアップします。
複数の塩をシンプルな素材につけて味比べをしてみたり、天日塩で鯛の塩釜焼に挑戦してみるなど、塩にもこだわることで料理の楽しみが増えますね。
ぜひ、参考にしてみてください。