冷え性対策に加熱した生姜が良い理由は?加熱温度・時間・おすすめの料理も

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こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。

一年を通して冷え性に悩まされている方は多いのではないでしょうか。

冷えは万病のもととも言われています。

冷え性を改善することで、免疫力アップや、脂肪燃焼効率が上がることでダイエット効果も期待できます。

冷え性対策として「温活」や「運動」など様々ありますが、今回は体の内側から温める生姜について解説します。

冷え性対策には加熱した生姜がおすすめ

冷え性対策におすすめの食材といえば、根菜類やねぎのほか、生姜や唐辛子などのスパイス類が挙げられます。

生姜や唐辛子は、胃腸に直接働きかけて血行を促進し、発熱量を増やす作用があります。

さらに、生姜は加熱することで、体の芯から温まる効果があることが分かっています。

冷え性の根本的な解決には、体の中心部から温めることが重要で、加熱した生姜が冷え性に良いと言われる理由はここにあります。

一方、生の生姜を摂ると手足は一時的に温まりますが、発汗を促すためかえって体の中心部は冷えてしまうこともあるんです。

体の中心部が冷えてしまうと、慢性的な冷え性が続く原因となってしまいます。

冷え性対策には中心部を温めるのがポイント

先ほどお伝えしたように、冷え性対策には、中心部を温めることが効果的です。

なぜなら冷え性は、「体の中心部から熱が逃げるのを防ぐ」といった体自身の働きによって引き起こされるからです。

寒くなると、手足など末端の血管が収縮することで、できるだけ熱が逃げるのを防ぎ、体の中心部は守られますが、手足は血行が悪くなるため冷えを感じます。

このようなメカニズムは生命活動を維持するためには大切な働きですが、私たちを悩ませる冷え性の原因になっているんです。

また、運動不足・ストレス・夏場のエアコンなどで自律神経(体温調節をする働き)が乱れることでも冷え性は引き起こされます。

運動不足により体全体の血行が悪くなったり、筋肉量が減ることでも発熱量が減ってしまい冷え性になることがありますよ。

冷え性に悩む女性が多いのも、筋肉量が比較的少ないからと考えられています。

冷えを感じるときは、手足などの末端を温めることに重きをおきがちですが、実は体の中心部から温めるということがポイントです。

たとえば、

  • お腹を直接温める
  • 冷たい食事は避け温かい食事・飲み物をとる
  • 運動して血行を良くし、筋肉量を増やす
  • お風呂につかる
  • 体の中心部を温める食材を取り入れる

などの工夫によって、体の中心部がじゅうぶん温まれば、手足の血管を収縮させる必要がなくなり、冷え性の改善が期待できますよ。

加熱した生姜で体の中心部が温まる理由

「生の生姜を加熱すると、体の中心部から温まる」とお伝えしましたが、ではなぜこの効果が得られるのでしょうか。

生姜に含まれる成分に、ジンゲロールショウガオールというものがあります。

どちらも胃に直接働きかけ、血行を促進する作用があります。

ジンゲロールは生の生姜の、特に皮の部分に多く含まれます。ピリッとした辛みが特徴で、血行を促進し、体の中心部を冷やす作用があります。

ジンゲロールを加熱すると、一部がショウガオールに変化します。ショウガオールはまろやかな辛みが特徴で、血行を促進し、体の中心部を温める作用があります。

つまり、生の生姜に含まれる成分が、加熱することで、体の中心部を温める作用のある成分に変化するのです。

これが、冷え性対策に生の生姜よりも加熱した生姜が良いと言われる理由です。

生姜はどれくらい加熱すると良い?おすすめの料理は?

ショウガオールは、100度で60分茹でることで生の時の3.3倍、100度で60分蒸すことで3.6倍に増加することがわかっています。

また、ショウガオールは80度3~4時間の加熱でさらに増加し、水分を含んだ状態で冷めると減少すると言われています。

そのため、煮込み調理や炊き込みご飯などの温かい料理に用いると、ショウガオールをより効率的に取り入れることができます。

たとえば、

  • サバの味噌煮
  • さんまの生姜煮
  • 牛すじ煮込み
  • 生姜の炊き込みご飯
  • 鶏手羽の煮込み
  • 生姜鍋

などのように、生姜を入れてコトコト柔らかく煮込むような料理がおすすめです。

冷凍生姜

ちなみに、生姜はカットして冷凍しておくと、料理に取り入れやすいです。
フリーザーバックに入れてパラパラにしたり、小分けにして冷凍しておくと便利ですよ。

形状もスライス・刻み・すりおろしなど、何種類か準備しておけば料理に使える幅が広がりますよ。

たとえば、スライス生姜は煮込み料理や魚の煮つけに臭みとりとして。
すりおろし生姜は、生姜焼きなど調味料といっしょに材料にしっかりからませたいときに。
刻み生姜は一緒に調理した後、料理の上に乗せても良いですよ。

手軽に使える冷凍生姜で、料理のおいしさだけでなく冷え性対策もできれば嬉しいですね。

薬味を効かせることで減塩効果も

また、薬味として生姜を入れることで、塩分を控えめにしても満足感が出ます

実は、塩分を摂りすぎると体内の濃度を一定に保つために水をとどめてしまいます。そのため、体が冷える原因になることもあるんです。

生姜などの薬味を効かせることで自然に減塩できるといいですね。

忙しい人は市販の生姜パウダーでもOK。摂取量に注意

ショウガオールは水分中で冷めることで減ってしまうのに対し、乾燥させると加熱で得られたショウガオールの含有量が減らずに維持されると言われています。

ですので、ショウガオールを日常的に活用したい場合は、保管中もショウガオールが維持できる、乾燥生姜や生姜パウダーを活用するのも一つの方法です。

特に、忙しい人には市販の生姜パウダーをおすすめします。市販の生姜パウダーは加熱乾燥されたものが一般的です。

パウダー状なので、さっとふりかけるだけで手軽に紅茶などの温かい飲み物に取り入れることができ、生姜ドリンクなど、風邪のひきはじめに寒気を感じたら飲むのもいいですね。

摂取量の目安

生姜パウダーは乾燥されているため成分も凝縮されていますので、少量で効果が期待できるのもポイントです。

ですが、摂りすぎには注意してくださいね。

胃腸に直接はたらきかける生姜は、過剰に摂取してしまうと胃腸のむかつき、ひどい場合は下痢や腹痛などを引き起こすことがあります。

摂取量の目安は、

  • 生の生姜の場合は1日5~10g
  • 乾燥生姜や生姜パウダーの場合は、1日1~2g

を目安に、ご自身の体調に合わせて調整してみてくださいね。

冷え性対策に取り入れるなら、1日の摂取量を3回に分けて取り入れたり、毎日少しずつ取り入れるのがいいでしょう。

最後に

加熱した生姜が冷え性対策におすすめする理由について解説しました。

冷え性を改善することで免疫力アップが期待でき、脂肪燃焼効率が上がりダイエットにもつながります。

体を内側から温める食材を取り入れつつ運動をするなどして、冷え性に負けない体づくりをしたいですね。

冷え性に悩まされている方は、ぜひ参考にしてみてください。

参考

ショウガ中の 6-ジンゲロールの加熱調理による変化

生姜抽出物の経口摂取が冷え性の人のエネルギー消費等に及ぼす 効果

ショウガ摂取がヒト体表温に及ぼす影響

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