こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。
グルテンフリーという言葉が一般的に広がり、スーパーやコンビニなどでもグルテンフリーを特徴とした商品が増えてきました。
体に良さそうなイメージのあるグルテンフリーですが、そもそもどういった特徴があるのでしょうか。
グルテンフリーの食事に健康効果はあるのか、また、グルテンフリーを実践するときのポイントや注意点についても気になるところですよね。
今回は、グルテンフリーについて、効果が期待できる人や、グルテンフリーを無理なく続ける方法・注意点についてお伝えします。
グルテンフリーが気になる方はぜひ参考にしてみてください。
グルテンフリーとは?
グルテンフリーとは、セリアック病・小麦アレルギー等の疾患をもつ人のための食事法です。
小麦を主食としている欧米で広く取り入れられている食事法で、日本でも小麦製品が体質に合わない人を中心に広まりました。
グルテンフリーの食事法では、小麦や大麦を取り除くほか、グルテンのもとになるたんぱく質を除去した「グルテンフリー小麦」を使用したり、市販のグルテンフリー食品を活用したりします。
グルテンとは
グルテンとは、小麦に含まれるたんぱく質の一部が、水と一緒に混ぜる・こねるなどの力を加えることで高分子化したものです。
グルテンは弾力や粘り気があるため、麺類のコシの元となったりパンが膨らむのに役立ちます。
このように小麦を使用する調理に欠かせないグルテンですが、体質によっては合わない場合があり、グルテンフリーの食事法をすることで不調が改善することがあります。
グルテンフリーの効果
グルテンフリーが合う人
グルテンフリーの食事法によって効果が期待できるのは、セリアック病・小麦アレルギー・グルテン過敏症など、グルテンによって体に症状や不調が出てしまう人です。
セリアック病
セリアック病は遺伝性のグルテン不耐症で、海外での患者数が多い疾患です。
グルテン摂取後に小腸の粘膜が変化することで吸収不良となってしまいますが、グルテンフリーの食事法をおこなうことでほとんどの場合に効果が期待できます。
小麦アレルギー
小麦アレルギーの原因のたんぱく質は、グルテンの元になる「グリアジン」や「グルテニン」以外にもあります。その中でもグリアジンやグルテニンが原因でアレルギー症状が出る人は、小麦除去食だけでなく、グルテンフリーの食事法もアレルギー対策として効果が期待できます。
遅延性の小麦アレルギー
食後一時間以内にはっきりと小麦アレルギーの症状が出る場合はわかりやすいですが、はっきりと症状が出ず、数時間後にアレルギー症状が出るような遅延性の小麦アレルギーの人もいます。そのような場合も、小麦除去食やグルテンフリーをおこなうことで対策になります。
小麦が合わない体質の人
セリアック病や小麦アレルギーではなくても、小麦やグルテンを食べることで下痢・頭痛・倦怠感などの不調や症状が出る人もいます。このように小麦が合わない体質の場合にも、グルテンフリーの食事法をおこなうことで不調の改善が期待できます。
グルテンフリーの効果
グルテンフリーは本来セリアック病や小麦アレルギーのための食事法ですので、上記のような疾患がある方にはほとんどの場合に効果が期待できます。
また、遅延性の小麦アレルギーやグルテン過敏症など、なんとなく小麦が合わないという人でも、グルテンフリーを実践することで不調の予防が期待できますので、少しでも不調を減らしたい方は試してみても良いかもしれません。
一方でグルテンフリーのダイエット効果には、現在、科学的根拠はありません。
しかしパンやうどんなどの小麦製品は腹持ちがよくないため、小麦製品を多く食べすぎることで肥満を促進してしまうことがあります。さらにはグルテンフリーによって小麦製品を避け、小麦よりも低GIであるお米を代わりに摂ることで、結果的にダイエットにつながることもありますよ。
グルテンフリーの実践方法
それでは、グルテンフリーは具体的にどのように実践すれば良いのでしょうか。
小麦は料理だけでなくパンやお菓子にも多く使用されています。また、グルテンは食感や美味しさに関係するため、グルテンフリーの食事は少しハードルが高いと思われる方も多いかもしれません。
ですが、ポイントをおさえることで無理なく・美味しくグルテンフリーを取り入れることができますよ。
無理なく続けられるグルテンフリーの食事方法を詳しくお伝えします。
お米中心の食生活にする
パンや麺類を避け、お米を中心とした一汁一菜の食事を心がけることで、無理なくグルテンフリーに近づきます。
和食の中でも、うどん・そば・そうめん・お麩などには小麦粉やグルテンが入っていることがほとんどですので、グルテンフリーを実践したい場合は避けると良いでしょう。
小麦粉を置き換える
小麦粉を置き換えることでもグルテンフリーにつながりますので、小麦粉の代わりに米粉を使って調理してみましょう。
揚げ物の衣、お好み焼きやチヂミなど、小麦粉を米粉に置き換えても美味しく仕上がる料理はたくさんあります。 また、麺類を使用したい場合はうどん・そば・そうめんなどは避け、米粉でできたビーフンやフォー、緑豆のでんぷんからできた春雨を使用すると良いですよ。
米粉については、過去の記事で詳しく解説しています。
スイーツを楽しむ
意外かもしれませんが、スイーツには小麦粉を使わないものが多くあります。
プリン・ヨーグルト・ゼリー・チョコレート・和菓子などには小麦粉が使用されていないことがほとんどです。
また、小麦粉の代わりに米粉を使用した米粉クッキーや米粉ケーキなどは、レシピや市販品も多く、焼き菓子でもグルテンフリーが実践しやすくなっています。
グルテンフリー食品を活用する
近年、スーパーやコンビニでも気軽に手に取れるグルテンフリー食品が充実しています。
米粉パンやパスタなどの麺類など、パッケージにもグルテンフリーと大きく記載されているものが多いため、迷うことなく選択できますね。
また、麺類には小麦粉の代わりに米粉だけでなく、こんにゃくを使用して作られたものもあります。
グルテンフリーの方法についてお伝えしましたが、グルテンフリーを実践する上での注意点についても押さえておきましょう。
グルテンフリーの注意点
グルテンフリーの食事法には注意する点がいくつかありますので、実践する場合は事前に以下のことを確認してくださいね。
そばは小麦粉が入っていることが多い
十割そばは100%そば粉を使用していますが、それ以外は小麦粉が入っているため、グルテンフリーを実践しているときは注意すると良いでしょう。
小麦アレルギーの場合は、海外のグルテンフリー食品に注意
グルテンフリー食品には、グルテンだけでなく小麦そのものを使わずに作られているものもありますが、小麦アレルギー対応食品とは異なるため小麦アレルギーの場合は、注意しましょう。
海外では、グルテン量が基準以下のものがグルテンフリー食品として認められます。たとえば、グルテンの元になるグルテニンやグリアジンを除去した小麦デンプンを使用している場合もあります。
このようなグルテンを除去した小麦を使用しているグルテンフリー食品は、小麦の食物アレルギー対応食品とは異なります。
小麦アレルギーの人は、アレルゲンであるたんぱく質がグルテンだけとは限らないため、グルテンフリー食品を取り入れるときは、小麦が含まれていないかよく確認しましょう。
アレルゲン表示の確認を
日本ではグルテンフリー食品についての基準は、現時点では定められておらず、アレルゲン表示を見ることで小麦が含まれているかどうかを確認できます。
小麦はアレルゲンとして表示義務があるため、小麦を使用している場合はパッケージの一括表示に必ず記載されることとなっています。
注意したいのは、日本のグルテンフリー食品に小麦が入っていないからといってセリアック病対応とは限らない点です。海外から来られた方やセリアック病患者の方は、大麦やライ麦が入っていないかも確認が必要です。
最後に
今回は、グルテンフリーについて詳しくお伝えしました。
グルテンフリーはセリアック病や小麦アレルギーの方だけでなく、なんとなく小麦が合わない体質の方にも向いている食事法です。
不調の原因が小麦かはっきりとはわからない場合でも、1週間ほど試してみるのもいいかもしれませんね。
グルテンフリーが気になる方は、注意点も踏まえながら、美味しくグルテンフリーを取り入れてみてください。