食物アレルギーで栄養不足が心配?家庭での食事対策

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こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。

食物アレルギーをもつ方の食事では、アレルギー症状の発症を避けるためにアレルゲンを含む食材を除去することになりますが、その分栄養の偏りが心配になりますよね。

食物アレルギーは成長期の子供が発症することが多いため、お子様の栄養面が気になる方も多いのではないでしょうか。

アレルゲンの除去をおこなった上で、さらに栄養バランスを整えるのは大変ですが、コツやポイントを押さえれば無理なく取り組むことができますよ。

今回は、食物アレルギーをもつ方が栄養バランスを整えるコツや、代替食の紹介など、家庭での食事対策について詳しくお伝えします。

最小限の除去と、家庭でできる食事対策

アレルゲン除去食では、栄養をできるだけ損なわないよう、また、食べられる範囲を増やせるように、必要以上に除去しすぎない「最小限の除去」をおこないます。
病院で経口負荷試験をおこなって許容量を知ることで、食べられる量や食べられる食品が増え、食生活が豊かになりますね。

一方、学校や幼稚園・保育園などの集団給食では、安全面からアレルゲンを完全に除去する「完全除去食」となります。
集団給食では個別管理が難しく、許容量を誤って超えてしまうと誤食事故につながるため、アレルゲンを含む食材は完全に除去するという対策が取られています。

完全除去食となる場合は、代替食としてお弁当を持参したり、家庭の食事で栄養面を補うこととなります。

アレルギーの食事対策では、最低限の除去にしながらも、栄養バランスを整えることがポイントになってきますよ。
また、食事は楽しみのひとつでもありますので、アレルギーだからといって諦めず、工夫して楽しめると良いですね。

家庭でできる食事対策について、具体的にご説明します。

調理による低アレルゲン化

まず、可能な場合は調理による低アレルゲン化をおこないましょう。

たとえば、生の卵は食べられないけれど加熱した卵なら大丈夫といった場合は、加熱することで卵を除去しなくてもよく、栄養バランスを保つことができますよ。

また、アレルギーでない人の分を先に取り分けておいて、除去食が必要な人の分は最後まで加熱するという方法もあります。
この方法であれば、アレルギーの方もそうでない方と同じ料理を食べることができ、疎外感を感じにくい上、調理の手間が省けますよね。

他の食材で栄養を補わなくても良いので、可能であれば低アレルゲン化がおすすめです。

代わりの食品で補う代替食

アレルゲン除去で不足しがちな栄養素を、代わりの食品で補うのが「代替食」です。

アレルゲンの代表となる食品には、卵や乳成分などたんぱく質をメインとする食材が多いです。
これはアレルギーのメカニズムとしてたんぱく質に免疫が過剰反応する場合が多いためですが、たんぱく質は体をつくる大事な栄養素なので、特に成長期には欠かせません。

たんぱく質の他にも大事な栄養素が含まれている場合があるので、除去する食品の栄養素を知って、似たような栄養素を含む代替食を考えましょう。

たとえば、乳成分がアレルゲンで牛乳が飲めない場合は、たんぱく質だけでなくカルシウム不足が心配ですね。

豆乳やアレルゲン除去ミルクを使用するほかに、小魚や海藻、小松菜などの葉物野菜にもカルシウムは含まれていますので、積極的に取り入れるようにしましょう。

魚のアレルギーの場合はビタミンDが不足しがちになるので、きのこ類・卵黄などで補うと良いですよ。

このように、除去食によって不足しがちな栄養素を積極的に補うことで、体力維持や成長に必要な栄養を摂ることができます。

代替食を取り入れることで、栄養面の他にもメリットがあります。

子供の場合は、周りの人と同じ食品を食べたがることが多く、代替食を使って見た目を合わせるだけでも疎外感を感じにくくなります

たとえば、小麦アレルギーの場合は、小麦粉の代わりに米粉・大豆粉・いも・片栗粉(いものでん粉)・おからなどを生地として使用してみてください。
牛乳が使えない場合は、豆乳を使うと良いですよ。

ハンバーグや揚げ物など、通常なら卵を使う料理も、片栗粉や豆腐、じゃがいもやれんこんのすりつぶしなどをつなぎや衣に使うことで卵アレルギーに対応できます。

このように調理方法を工夫すると、味付けや調理方法がワンパターンになりにくく、食事を楽しむことができます。

おやつで補う

小さな子供や高齢の方の場合は一度に食べられる量が限られるので、3食で必要量を補うのは大変ですよね。

そんなときは、おやつも食事として考えてみましょう。

おやつは必ずしも甘いお菓子でなければいけないわけではありません。
小魚や酢昆布などの海藻などを取り入れたり、おかず系の蒸しパンなども良いでしょう。

おやつの時間に、足りない栄養を補うと考えると、少し余裕が持てるのではないでしょうか。

栄養バランスのポイント!1週間単位で考えてもOK

栄養バランスを整えるポイントは、主食・主菜・副菜・汁物をバランスよく配置することです。

主食はご飯などの炭水化物でエネルギー源になります。主菜はお肉や魚などのたんぱく質で、主に体をつくります。副菜は野菜や果物など、主に体の調子を整えます。

また、赤・黄色・緑・白・黒と色彩ゆたかな食事は、栄養バランスがとれていることが多いです。

このようなバランスのよい食事を毎日続けるのが理想ですが、1日でバランスを整えるのは難しいときもありますよね。
特に除去食をおこなっている場合は、アレルギー症状を発症しないように気をつけるだけでも大変です。

そんなときは、1週間トータルでみて栄養バランスがとれていれば大丈夫です。

例えば、平日が忙しい場合はその分、土日にしっかりと足りない栄養素を摂りましょう。

たんぱく質が足りていないと感じたらお肉やお魚だけでなく、豆腐や豆類なども使うように意識するだけでも変わってきますよ。

栄養バランスについては農林水産省の「食事バランスガイド」を参考にしてみてください。

低アレルゲン食品の利用

アレルゲン除去に対応した加工食品や調味料があるので、お助け食材として頼ってみるのも良いでしょう。

価格は高めですが、低アレルゲンとして管理されているので安心ですね。

アレルゲン対応ソーセージなど、おやつに取り入れられそうな加工食品のほか、卵を使わずに作ったマヨネーズタイプ調味料や、小麦粉・牛乳・バターを使わずでんぷんを使ったシチュールウなどがあります。

小さな子供の場合、味付けや舌ざわりが好みでないなどが理由で、急には食べられないことがありますので、余裕があるときに一度でも試しておくといざというときに便利ですよ。

アレルギーで加工品を取り入れる際に気を付ける点  

加工食品の良い点は、賞味期限が長いものが多く、ストックしておけるところです。

低アレルゲン食品や加工品を食事に取り入れる際は、裏面の一括表示でアレルゲンの有無を確認しましょう。
食べ慣れたものでも急に原材料が変わることがありますので、その都度表示を確認するようにしてください。

念のために使用した商品のパッケージを保管しておけると良いですね。
医師に相談するときに役立ちますし、疑問に思った時は製造元に問い合わせることができます。

アレルギーの情報を周囲に共有する

特に小さいお子様の場合は、預け先にアレルギーの情報を共有することが大事になります。

自分でアレルギーがあることを伝えられなかったり、お菓子などを欲しがったりして周りが知らずに与えてしまうことがあるためです。

あらかじめ周囲の大人や預け先に食べられる範囲や間違いやすい食材について知らせておくなどして、情報を共有しておきましょう。

最後に

アレルギーの食事対策についてお伝えしました。
アレルギーをお持ちの方でも、ご家庭でできる対策をすることで、食事を楽しむことができますよ。

症状のある方は医師の指示に従ったうえで、参考にしてみてください。

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