食物アレルギーとは?メカニズムと症状の種類、食事の対策・予防法

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こんにちは、管理栄養士・料理家 ひろのさおりです。

アレルギーには様々な種類がありますが、中でも食品によって引き起こされるのが食物アレルギーです。

食物アレルギーは小さい子供で発症することが多いイメージがありますが、大人でも突然、発症することがあります。

近年アレルギーのメカニズムが解明されてきており、一昔前までは体の不調とされていたものも食物アレルギーとして認知されてきました。

今回は、食物アレルギーとはどのようなものか?食物アレルギーが引き起こされるメカニズムと症状の種類や、食事の対策・予防法について詳しく解説します。

症状のある方は医師の指示に従ったうえで、参考にしてみてください。

食物アレルギーとは?アレルギーのメカニズム

食物アレルギーとは、食品が原因で皮膚や粘膜、消化器官や呼吸器にアレルギー症状が出ることです。

なぜこのような症状が出てしまうのでしょうか。

そもそも人の体には、菌やウィルスから体を守る免疫機能があり、菌やウィルスなどの異物を外に排除したり、それと戦うことで、体を守っています。

具体的には、異物=「抗原」に対して、体内で「抗体」というものをつくって、抗原を排除します。

食物アレルギーは、本来は異物ではない(異物とはみなさない)食べ物に対して、この免疫機能が働いてしまっている状態です。

他の例では、花粉症は花粉を異物と認識した免疫機能により症状が引き起こされます。

アレルギーを引き起こす原因となる物質をアレルゲンといいますが、アレルゲンには動物や植物に含まれる「たんぱく質」が多いことがわかっています。

食物アレルギーでは、食品に含まれるたんぱく質がアレルゲンとなることが多く、特定の食品や成分に対して「抗体」が作られています

また、交差反応といって、アレルゲンが似ていることで食物アレルギーになる場合もあります。

たとえば、花粉症の人は、花粉と似た物質が含まれる果物のアレルギーになりやすいと言われています。

食物アレルギーの具体的な症状

食物アレルギーの症状には、即時型遅延型があります。

原因となる食物を食べてから30分~2時間ほどで症状が出るのが即時型です。

即時型の症状には、

  • 皮膚や粘膜の症状…発疹
  • 消化器官の症状…下痢、嘔吐
  • 口の中や唇、喉のかゆみ・腫れ
  • 鼻水やくしゃみ、鼻づまり
  • 呼吸器 咳、喘鳴、ひどくなると呼吸困難

などがあります。

重症の場合は、血圧の低下や意識障害などのショック症状が現れることもあります。

また、複数のアレルギー症状が同時に急速に出るアナフィラキシーを起こすこともあります。

意識があったとしてもすぐに病院を受診した方がいいのは、喘鳴やアナフィラキシーがある場合です。

このような食後30分~2時間ほどで出る即時型に対して、肌のかゆみなどが2時間以上してから現れるのが遅延型です。

遅延型のメカニズムはまだよく分かっていませんが、特定の食品を食べてから2時間以上たってからかゆみ等が出る場合は、遅延型の食物アレルギーを疑ってみてもいいかもしれません。

いずれの場合も自己判断はせず、病院を受診することをおすすめします。

子供の食物アレルギー

子供は消化機能が未発達で、アレルゲンであるたんぱく質をうまく消化しきれません。

また、免疫機能が未発達なことで、食品中のたんぱく質を異物と区別できずアレルギー症状が出やすいのです。

ただし子供の食物アレルギーでは、成長とともに消化機能や免疫機能が発達することで症状が落ち着くこともあります。

特に大豆・小麦・牛乳・卵などのアレルギーは、1歳を過ぎると自然に症状が落ち着くことが多いと言われていますよ。

大人の食物アレルギー

症状が今までなかった場合でも、体の不調をきっかけに突然、食物アレルギーになることがあります。

疲れているときや体が弱っている時は、食物アレルギーになりやすく、大人の食物アレルギーは、一度なってしまうと改善することは難しいようです。
そのため、食物アレルギーにならないようにすることが大切です。

特に、遺伝的にアレルギーになりやすい体質の場合や、子供のころアトピー性皮膚炎だった場合などは、食物アレルギーになりやすいため注意したいですね。

食物アレルギーの食事対策・予防法

食物アレルギーの食事対策や予防法として、どのようなことができるでしょうか。

すでに何らかの食物アレルギーの場合は、アレルゲン除去した食事に切り替えることでアレルギー症状を避けることが先決です。

一方で、そもそも食物アレルギーになるのを予防したい、アレルギー体質を改善したいという場合は、食習慣を見直し免疫機能を整えましょう。

それぞれ詳しくご紹介します。

食物アレルギーがある場合、最小限の除去で発症を避ける

食物アレルギーは人によってはアナフィラキシーや意識障害など重篤になることがあるため、アレルギー症状の誘発を避けることが大切です。

すでに食物アレルギーの症状がある場合は、まずはアレルゲンとなる食品を取り除くことで対策しましょう。

その際ポイントとなるのが、最小限の除去をすることです。

人によってアレルゲンや症状、重症度は異なり、食べられる量にも個人差があります。微量でも重篤になる人もいれば、ある程度なら食べられるという人もいます。

思い込みでアレルゲンではない食べ物まで過剰に除去したり、アレルゲンであっても必要以上に除去してしまうと、必要な栄養素が不足することがあります。

除去を最小限にするためには、血液検査や抗体検査でアレルゲンを特定し、経口負荷試験をおこないます。

経口負荷試験で食べられる範囲を広げる

経口負荷試験とは、医師の指導のもと摂取するアレルゲンを少量ずつ増やしていき、安全に食べられる量を増やす試験のことです。

子供の場合は免疫機能が徐々に発達していくため、成長とともに経口負荷試験をおこなうことで食べられる量が増えていくことが多いです。

ただし、経口負荷試験を自己判断でおこなうのは危険です。必ず医師の指示に従いましょう。

体調不良のときはアレルゲンになりやすい食品を控える

ここからは、そもそも食物アレルギーになるのを予防したい、アレルギー体質を改善したいという場合の予防法になります。

疲れているときや体調不良のときは食物アレルギーになりやすいです。体が弱っているときは、アレルゲンになりやすい食べ物を控えるようにしましょう。

特に免疫機能が未発達な子供や、アレルギーになりやすい体質の方は気をつけたいところです。

食物アレルギーの原因になりやすい食品について記載しますので参考にしてみてください。

アレルゲンになりやすい食品

  • 鶏卵
  • 牛乳
  • 小麦
  • 種実類…落花生(ピーナッツ)・アーモンド・カシューナッツなど
  • 果物類…りんご・オレンジ・キウイフルーツ・ももなど
  • 甲殻類…えび・かになど
  • そば
  • 大豆
  • 魚類…さば・鮭など

このように普段から食べ慣れている食品でも、体調不良などのタイミングでアレルゲンになることがあります。

体調不良のときは、できるだけ消化に優しい食べ物を摂れるとよいですね。

腸内環境を良くすることで免疫機能を整える

また、免疫機能の異常でアレルギーが引き起こされることから、普段の食事を工夫することで食物アレルギーの予防が期待できます。

免疫機能は腸内環境とも密接に関わっています。

花粉症対策にバナナやヨーグルトが良いと言われるのは、このことに関連しています。

発酵食品やオリゴ糖などを活用して腸内環境を整え、免疫機能を整えましょう。

バランスの良い食事

好きだからと言って特定の食品ばかり食べすぎるのは、体にあまり良くありません。甘いものや油脂類を摂りすぎるような食事の場合は改善し、バランスの良い食事を心がけましょう。

現代人に不足しがちといわれている野菜や魚を増やすだけでも違いますよ。

また、オメガ3などの多価不飽和脂肪酸も、アレルギー症状を落ち着かせる効果が分かっています。

皮膚にかゆみなどが出る場合は、オメガ3などの多価不飽和脂肪酸を多く含む食品を増やして、アレルギー症状を落ち着かせたり、肌のうるおいを内側からアップさせるのも一つの方法です。

まとめ

食物アレルギーのメカニズムと症状、食事対策と予防法についてお伝えしました。

食物アレルギーは特定の食品に対して抗体ができてしまった状態です。

すでに食物アレルギーがある場合は、除去食に切り替えることでアレルギー症状の誘発を避けましょう。その際、完全に除去するのではなく、病院で検査や経口負荷試験をおこない最小限の除去にします。

食物アレルギーになるのを予防したい、アレルギー体質を改善したいといった場合は、食習慣を見直しましょう。体調が優れないときはアレルゲンになりやすい食品は避け、普段からバランスの良い食事や発酵食品などで免疫機能を整えてくださいね。

気になる症状がある場合は医師の指示に従った上で、参考にしてみてください。

【参考】

厚生労働省 食物アレルギーとは

明治 食物アレルギーとは?症状を知ろう

消費者庁 平成30年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書

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