酸化しやすい油は加熱調理NG?油脂の賢い選び方とは

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こんにちは、管理栄養士・料理家の廣野沙織(ひろのさおり)です。

サラダ油、ごま油、オリーブオイル、バター・・・など、料理に使うあぶら(食用油脂)には多くの種類がありますよね。どれも、焼いたり揚げたりなどの加熱調理には欠かせません。

どの油脂を使うかは好みであったり、料理の風味やテイストに合わせて決める、という方も多いと思います。しかし、油脂は種類によって「酸化」のしやすさが異なり、美味しさや健康の面で料理との相性があることをご存知でしたか?

今回は食用油脂の酸化について解説し、酸化をできるだけ防ぐための油脂の選び方や調理方法についてご紹介します。

油脂の酸化について

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油脂は、空気中の酸素分子と反応して酸化するという特徴があります。
酸化・・・なんとなく悪いイメージがあるかもしれませんね。

油脂は酸化することで、色や味が変化するだけでなく、栄養価が低下し、さらに毒性を示す[1]ことが知られています。

油脂の酸化は放っておいても進みますが、熱によって促進されるため、加熱調理では特に注意が必要です。

一般に、温度が10℃上がると反応速度は約2倍になります。炒め物や揚げ物では、油の温度は150~200℃近くまで上がるので、非常に酸化しやすい条件なのです。

それでも、油脂の温度を上げずに料理するわけにはいきませんよね。
その際に重要になるのが油脂の種類です。

酸化しやすい油脂、酸化しにくい油脂

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油脂はその種類によって、酸化のしやすさが異なります。

それには、油脂に含まれる脂肪酸の種類が関わっています。酸化は、脂肪酸の二重結合部分で起きるため、二重結合が多い脂肪酸を含んでいる油脂ほど酸化しやすいのです。

酸化しにくい脂肪酸・油脂

飽和脂肪酸

  • 二重結合をもたず、非常に酸化しにくい
  • バターやラード、ココナッツオイル など

オメガ9系脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)

  • 二重結合を1つもち、酸化しにくい
  • オリーブオイル、こめ油、菜種油、紅花油、アボカドオイル、椿オイル、アーモンドオイル など

酸化しやすい脂肪酸・油脂

オメガ6系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)

  • 二重結合を多数もち、酸化しやすい
  • サラダ油、ごま油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、グレープシードオイル など

オメガ3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)

  • 二重結合を多数もち、酸化しやすい
  • えごま油、亜麻仁油、サチャインチオイル など

油脂の選び方と使い方

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美味しい料理を作る上では、料理のテイストや風味に合わせた油脂を選ぶことは重要ですよね。
ただ、酸化した油の摂取を控えるという点では、加熱調理には、バターやオリーブオイル、こめ油のような酸化しにくい油脂を優先して使うと良いでしょう。

一方、ごま油や亜麻仁油など、酸化しやすい油脂については加熱しない調理に利用するのがおすすめです。
具体的には、ナムルやマリネに使ったり、手作りドレッシングにするなど。このような使い方であれば、酸化しやすい油でも安心です。

また、普段揚げ油を再利用している方は特に注意しましょう。

揚げ油は一度高温に加熱したことに加え、食材から出た水分や成分を含んでいるため、保存中に酸化が進みやすくなっています。
揚げ物にはできるだけ酸化しにくい油脂を使い、何度も再利用することは避けた方が良いです。

総合的な判断で上手な選び方を

油脂は料理に欠かせない存在。だからこそ、しっかり選ぶことが大切です。
今回は「酸化」に着目して油脂を分類したので、栄養など他の要素については考えられていません。

例えば、オメガ3系脂肪酸は、体内で悪玉コレステロールを下げる働きがあることが知られています。オメガ3系脂肪酸を多く含むものは酸化しやすいからといって摂取を避ける必要はありません。
逆に、酸化しにくい油脂(飽和脂肪酸)も、摂り過ぎれば健康には悪影響です。

油脂の種類と栄養に関しては、以下の関連記事で一部ご紹介しているので参考にしてみてください。

食品の良し悪しや健康への影響については総合的に判断する必要があります。
その判断に必要なのは、食品の裏にある科学的な知識ではないでしょうか。

少し難しい話だと感じる方もいるかもしれませんが、興味のある方は他の記事もご覧になってみてください。

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[1] 松尾登(1976), 油脂の酸化および加熱による変性に関する研究, 油化学, 25, 743-755

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